インターネット上の防災解説や口コミには、災害現場の物理特性を無視した誤解が根強く残っています。東みよし町の地形とカメラ網にまつわる「3つの大きな誤解」を是正しなければなりません。
第1の誤解は、「ライブカメラに映る水位が警戒ラインに達していなければ避難の必要はない」という慢心です。吉野川のような長大な一級河川は、上流部での降雨量、早明浦ダムをはじめとするダム群の放流タイミングによって急激に水位が変化します。カメラ映像に映る水面は「過去数分前の現状」に過ぎず、上流から押し寄せる濁流のピークはこれから到達するのです。「目に見える危険」が現れてからでは、避難路が先に冠水して移動手段を失うことになります。
第2の誤解は、「平地(加茂や三加茂)の天候と水の丸高原の天候を同一視すること」です。東みよし町の市街地は温暖な気候であっても、標高1,000mを超える水の丸高原では「標高が100m上がるごとに気温は約0.65℃下がる」という気温逓減率が冷徹に作用します。市街地が気温5℃の冷雨であっても、山上はマイナス1.5℃の吹雪となり、短時間で完全な積雪路へと豹変します。水の丸高原積雪ライブカメラで雪が確認された時点で、山間部へ通じる町道・林道はノーマルタイヤでの走行が不可能な凍結地帯になっていると認識すべきです。
第3の誤解は、「夜間カメラの映像が明るいから周囲も見えるという錯覚」です。現代の防災カメラは高感度センサーやゲイン調整によって暗闇でも周囲を明るく増幅して映し出します。しかし、一歩車外に出たり現地へ足を踏み入れたりすれば、そこは街灯すら途絶えた漆黒の闇です。カメラ映像の明るさに騙されて夜間の外出や河川の見回りに赴く行為は、自ら命を危険に晒す極めて無謀な行動と言わざるを得ません。