胸部X線Kerley B Linesの正体|心不全と読影の急所

胸部X線Kerley B Linesの正体|心不全と読影の急所

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Kerley B linesを認めた際、心不全と並んで鑑別から外せないのが悪性腫瘍に伴う癌性リンパ管症(lymphangitic carcinomatosis)です。両者は治療方針も予後も全く異なるため、画像と臨床経過の両面から正確に見極める必要があります。

鑑別の決め手となるポイントは主に3点あります。

第一に「病変の左右対称性と分布」です。心不全による肺うっ血は基本的に両側の肺に均等に出現しますが、癌性リンパ管症では腫瘍の局在や転移経路により、片側優位であったり区域性に偏ったりする傾向が見られます。

第二に「利尿薬に対する反応性」です。心原性浮腫であれば、ループ利尿薬などの投与により数時間から数日でKerley B linesが劇的に薄弱化・消失します。一方で、腫瘍細胞の直接浸潤による癌性リンパ管症では、利尿薬を投与しても画像所見に変化は見られません。

第三に「高分解能CT(HRCT)での所見」です。胸部CTを撮影すると、心不全では小葉間隔壁が滑らかに厚くなる「smooth thickening」を呈するのに対し、癌性リンパ管症では腫瘍結節が数珠状に連なる「nodular thickening(結節状肥厚)」が明瞭に確認できます。既往歴に胃癌や乳癌、肺癌がある患者の頑固な息切れでは、この微細な差の追跡が極めて重要です。

池田 達也
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池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。