風向きが根本から変わり始めた契機は、2016年秋に成立した日産自動車による事実上の買収劇でした。日産傘下入り後の三菱の変化は、単なる資本提携にとどまらず、企業風土と開発プロセスの完全な解体・再構築へと波及しました。ルノー・日産・三菱アライアンスの一角となったことで、電子プラットフォームや先進運転支援システム(ADAS)の共同調達が進み、品質管理体制には外部からの厳格な監視の目が組み込まれました。
社内開発の現場では、長年の悪弊であった内向きの隠蔽体質を根絶するためのコンプライアンス改革が徹底され、開発現場の技術者が妥協なく安全性を追求できる環境が整いました。その結実が、2026年にフルモデルチェンジを果たした「アウトランダーPHEV」や、新世代軽自動車の投入です。フロントフェイスには共通デザインアイデンティティである「ダイナミックシールド」が確立され、かつての野暮ったさは完全に払拭されました。
三菱自動車の現在の評判を調査すると、自動車専門誌のカー・オブ・ザ・イヤー各賞の常連となり、J.D. パワーなどの初期品質調査(IQS)や顧客満足度調査においても業界平均を上回るスコアを連発しています。過去のトラウマを背負ったメーカーだからこそ、他社以上に厳格な品質基準を自らに課す――そうした現場の執念が、徐々に市場の警戒心を解きほぐしていきました。