近年、医療は「個別化医療(プレシジョン・メディシン)」の時代へと完全にシフトした。がん治療においては、患者個人の遺伝子変異に合わせた最適な薬を選択する治療法が標準化しつつある。
ここで、DNA、遺伝子、そして「ゲノム」という言葉の区別が極めて重要になる。ゲノムとは、ある生物が持つすべての遺伝情報(DNA全体)のセットを指す。医師が「遺伝子の変異」と言うときと、「DNAの損傷」と言うときでは、指し示している治療のアプローチや意味合いが異なる。これらを混同していると、自身の治療方針や検査結果を誤解してしまうリスクがあるのだ。