スリラチャソース(Sriracha Sauce)のルーツは、タイ東部の沿岸都市「シーラーチャー(Si Racha)」で地元民に親しまれていた伝統的なシーフード用チリソースにあります。このローカル調味料を世界的なメガヒット商品へと押し上げたのが、ベトナムからアメリカへ渡った難民実業家デイヴィッド・トラン氏が1980年に創業したフイフォンフーズ(Huy Fong Foods)社です。
トラン氏の生まれ年である酉(とり)年にちなんで描かれた「フイフォンフーズのニワトリ」マークと緑色のキャップは、アメリカのストリートカルチャーやフードシーンにおいてカルト的な人気を獲得しました。ピザ、フォー、ハンバーガー、タコスなど、あらゆる料理に豪快にかけるスタイルが定着し、NASAの宇宙食メニューに採用された実績を持つほどです。
ところが2026年代前半以降、北米市場を中心に深刻なスリラチャソースの品薄理由となったのが、主原料である生ハラペーニョの記録的な不作と供給網トラブルでした。メキシコやカリフォルニアを襲った歴史的干ばつに加え、長年提携していた大規模農園との契約解除に伴う法廷闘争が重なり、フイフォンフーズ製品は一時、大手ECサイトで1本1万円近いプレミアム価格で転売される事態にまで発展しました。この供給危機を契機に、タイ直輸入のオリジナル系ブランドや、日本国内向けにローカライズされた独自ブランドの参入が一気に加速しました。