映画史を振り返れば、大衆が抱く軍人の肉体像は常にカルチャーの最前線を牽引してきた。80年代のミリタリーアクションを象徴するアーノルド・シュワルツェネッガーの威圧的なシルエットから、現代のリアル志向な戦闘スタイルへの移行はその好例だろう。超人的な筋肥大をファンタジーとして描いた『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』の変身劇が世界を熱狂させる一方で、近年観客を惹きつけるのは、より生々しく機能的な肉体美だ。
その到達点とも言えるのが『トップガン マーヴェリック』で描かれたパイロットたちの姿だ。劇中のビーチシーンで見せつけられた引き締まった体幹と俊敏な筋肉は、過酷なG(重力加速度)に耐えうる実戦仕様のフィジカルそのものだった。銀幕のスターたちが体現する「動ける身体」は、単なるフィクションの枠を超え、現代のトレーニング志向に決定的な影響を与えている。