仲見世通りの賑わいから一歩路地裏へ入ると、潮の香りとワイングラスの触れ合う音が漂ってくる。ここ数年で浅草エリアにオープンしたオイスターバーや居酒屋は30店舗を超えた。背景にあるのは、産地直送ルートの激変だ。三陸や広島、五島列島など全国の主要港から、超急速冷凍・微粒子氷保管技術をフル活用した配送便が浅草の厨房へと直行する。
「以前は輸送中の劣化を防ぐために加熱用が主流だったが、今は水揚げから数時間後の鮮度で客席に届く」と、浅草で人気店を営む料理人は語る。江戸時代から続く「外食文化の発祥地」という歴史的下地が、新しい食のムーブメントを急速に吸収した結果と言えるだろう。