数学の世界には、解けた瞬間に歴史が塗り替わる超難問が存在します。2000年にアメリカのクレイ数学研究所が発表した「ミレニアム懸賞問題」は、1問につき100万ドル(約1億5000万円)の懸賞金がかけられた7つの未解決問題です。
現在までに唯一解決されたのが「ポアンカレ予想」でした。この「3次元空間において、穴のない閉じた空間はすべて球面と同相か」という幾何学の難問を2002年から2003年にかけて証明したのは、ロシアの天才数学者グリゴリー・ペレルマンです。
ペレルマンは、数学界最高峰の栄誉であるフィールズ賞の受賞を「自分の証明が正しければ賞など不要だ」と言い放って辞退し、100万ドルの懸賞金の受け取りも拒否しました。その後はロシアのサンクトペテルブルクで母親とともにキノコ狩りなどをしながら隠遁生活を送っており、その孤高の姿勢は世界中に衝撃を与えました。
一方、21世紀の数学界で最大の論争を巻き起こしたのが、京都大学数理解析研究所の望月新一教授による「ABC予想」の証明です。望月教授は、従来の数学の枠組みを根底から拡張した「宇宙際タイヒミュラー理論(IUT理論)」を構築し、2012年に数百ページに及ぶ論文を発表しました。その難解さゆえに世界のトップ数学者たちでさえ理解に長年を要し、現在もその正当性と応用を巡る活発な議論が続いています。
このほかにも「リーマン予想」や「P対NP問題」など、いまだ人類の知性が到達していない未解決問題が立ちはだかっており、世界中の頭脳がその攻略に人生を捧げています。