メジャーリーグの歴史を語る上で欠かせないフィリーズのマスコットの名前は「フィリー・ファナティック(Phillie Phanatic)」です。ファナティック(狂乱的なファン)の名の通り、熱狂的で妥協を許さないフィラデルフィアのファン気質をそのまま具現化したキャラクターとして設計されました。
そのフィリーズのマスコットの正体について、球団公式バイオグラフィーでは「ガラパゴス諸島生まれの飛べない巨大な鳥のような生物」と規定されています。太鼓腹に全身を覆う鮮やかなグリーンの毛並み、ラッパのように突き出た長いくちばし、そして試合展開に合わせて飛び出す伸縮自在の舌という、一度見たら忘れられない強烈なヴィジュアルを誇ります。
フィリーズのマスコットの由来は、1970年代後半に遡ります。当時、過激化していた地元ファンの球場マナーを改善し、家族連れをスタジアムに呼び戻すための起死回生策として球団副社長だったビル・ジャイルズ氏が企画しました。デザインを手掛けたのは、人形劇『セサミストリート』や『マペット・ショー』のキャラクター制作で世界的に知られていたボニー・エリクソン氏とウェイド・ハリソン氏のチームです。
1978年4月25日のシカゴ・カブス戦で初お披露目されると、従来の静的な球団マスコットの常識を覆す破天荒な動きで瞬く間にスタジアムの主役に躍り出ました。この瞬間から、半世紀近くに及ぶフィリー・ファナティックの歴史が幕を開けたのです。