見かけの愛らしさとは裏腹に、その生存能力は驚くほど泥臭く、そして力強い。例えばノドアカハチドリは、繁殖地と冬越し地を行き来する際、メキシコ湾を休むことなく20時間以上連続で飛翔し、約800キロメートルもの海上を単独で渡り切る。渡りの直前、体脂肪率を40%以上にまで高め、身体全体を純粋な燃料タンクへと作り変えるのだ。
しかし、近年の地球規模の気候変動は、彼らの渡りのルートや開花時期との同期に狂いを生じさせつつある。環境の変化に対し、一部の種は生息域を急速に高標高地域や北へとシフトさせている。生態系の微細な変化を誰よりも早く察知し適応しようとするその姿は、地球環境の今を映し出す指標としての役割も担っている。