1990年代後半から2000年代初頭にかけて、外食産業は未曾有の価格破壊の嵐に見舞われた。各社が200円台の値下げ合戦に突入し、さらにはBSE問題による牛肉調達危機が業界を直撃する。資本力で勝る大手との真っ向勝負が困難になるなか、同社が放った乾坤一擲のメニューこそが「ねぎ塩牛丼」だった。
醤油ベースの甘辛いタレが絶対的な正義とされていた牛丼の世界に、塩ダレと粗挽き黒胡椒、そして山盛りの青ねぎを持ち込んだこの発明は、市場に強烈なインパクトを与えた。あっさりしながらもパンチの効いた味わいは爆発的なヒットを記録し、競合他社がこぞって類似商品を追随する事態にまで発展する。牛丼チェーンの歴史において、明確なパラダイムシフトを起こした瞬間だった。