野球ファンの間で定期的に巻き起こるのが「セ・リーグもDH制を導入すべきか否か」という議論です。インターネット上では「投手がバッターボックスに立つのは時代遅れ」「投手の怪我防止のために即刻DHを導入すべきだ」という声がある一方、「9人野球の戦術的美しさを捨てるな」という根強い反論が存在します。
セリーグDH制導入の可能性については、これまでもオーナー会議や監督会議で議題に上ってきました。巨人などが導入に前向きな姿勢を示した時期もありましたが、球団ごとの伝統へのこだわりやファンの意識の違いから、全会一致の合意には至っていません。
ここでの盲点は、セ・リーグの「DHなし」が単なる旧態依然のルールではなく、高度な戦術的駆け引きを生み出す源泉になっている点です。
- 代打と投手交代のジレンマ:好投している先発投手の打順でチャンスが巡ってきた際、続投させるか代打を出すかという監督の決断。
- ダブルスイッチなどの選手起用:守備固めと投手を同時に代える複雑なベンチワーク。
- 送りバントと下位打線の攻防:8番打者を敬遠して9番の投手と勝負するセオリーなど、1球ごとの心理戦。
「DH制がないから実力で劣る」という単純な二項対立ではなく、それぞれのリーグが異なるゲーム性を提供しているというのが、現代プロ野球における正確な捉え方です。