ポン酢を使った鍋で最も多い失敗が「酸味が強すぎてスープが飲めない」「子どもがむせてしまう」という問題です。一般的なポン酢のpHは約3前後と強酸性を示します。この酸味を上手にコントロールする鍵は、「みりんによる糖のマスキング」と「油脂によるコーティング」にあります。
ポン酢鍋の隠し味にみりんが不可欠とされる理由は、みりんに含まれるブドウ糖やアミノ酸が舌の酸味受容体を適度に覆い、トゲのある酸味をまろやかなコクへと変換してくれるためです。さらに、仕上げにごま油を小さじ1垂らす「ポン酢ごま油鍋」の手法を取り入れると、油の微粒子がスープ表面に広がり、湯気とともに揮発する酸の刺激臭を劇的に抑えてくれます。
また、調理手順にもポイントがあります。ポン酢全量を最初から強火でグラグラと煮立たせ続けると、柑橘の繊細な香り成分が蒸発し、酢の酸味だけが重く残ってしまいます。具材に火が通るまでは弱中火を保ち、アクを丁寧にすくい取ることで、濁りのない澄んだ極上だしに仕上がります。