柳葉敏郎の長いキャリアにおいて、ネット上で時にまことしやかに囁かれるのが「哀川翔との不仲・確執説」と「『踊る大捜査線』早期降板希望の噂」です。これらは事実なのか、現場の証言から検証します。
哀川翔との関係:確執ではなく「魂の盟友」
一世風靡セピアのツートップとして並び立った哀川翔との間には、過去に「方向性の違いから殴り合いの喧嘩をした」「口を利かない時期があった」といったゴシップが流布したことがありました。しかし、報道各社の対談や関係者の証言によると、激しいぶつかり合いは舞台や音楽に対する極限の情熱が生んだものであり、根底にあるのは固い絆です。
後年のバラエティ番組やトーク特番で共演した際も、哀川翔は柳葉敏郎を「あいつがいなければ今の俺はいない」と公言し、柳葉もまた哀川を「生涯の戦友」と語っています。互いに異なるジャンルでトップを極めた2人の関係は、安易な不仲説を完全に覆す、骨太な信頼関係で結ばれています。
『踊る大捜査線』室井慎次役を辞めたかった苦悩の真相
また、室井慎次役を「早く降板したがっていた」という話は、単なる噂ではなく本人がインタビューや自著で認めた実話です。
当時、情熱的で表情豊かな演技を得意としていた柳葉にとって、笑顔を一切見せず、感情を表に出さない室井の役作りは極度の精神的ストレスでした。連続ドラマ版の撮影序盤、柳葉は脚本家の君塚良一氏に対して「自分はこの役に合っていない。室井を殉職させて降板させてほしい」と直接直訴したと明かしています。しかし、制作陣の熱烈な説得とプロデューサー陣の支えにより続行を決意。自らの表現欲求を徹底的に削ぎ落とした結果、映画第2作『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003年)が日本実写映画の歴代興行収入記録(173.5億円)を樹立するほどの伝説的キャラクターへと昇華したのです。