原作連載当時、二枚屋王悦の戦いぶりは大きな賛否両論を巻き起こしました。親衛隊をあっという間に切り捨てた瞬間のカタルシスが凄まじかった反面、ユーハバッハの「聖別(アウスヴェーレン)」によって復活・強化された親衛隊に対し、ナックルヴァールの致死量操作やリジェの万物貫通によって呆気なく敗北したためです。読者の間では「見掛け倒しだったのではないか」「かませ犬にされた」という落胆の声も少なくありませんでした。
しかし、アニメ『千年血戦篇』における演出のブラッシュアップが、この評価を180度覆しました。アニメ制作陣と久保帯人氏の綿密な連携により、王悦の戦闘シーンには超人的なスピード描写と金属音の生々しいSEが追加され、まさに「刃の神」と呼ぶにふさわしい凄絶なアクションへと昇華されたのです。
さらに、アニメで王悦を演じた声優・上田燿司氏の名演がファンの心を鷲掴みにしました。軽薄なラッパー口調から、戦闘開始直後に放たれる低音の凄み、そして一撃で敵を仕留める際の冷徹なブレスに至るまで、キャラクターの多層的な魅力が見事に表現されています。放送当時のSNSやファンコミュニティでは、「原作の数倍ヤバい奴になっている」「上田燿司さんのボイスで王悦の底知れなさが完成した」と絶賛の嵐が巻き起こりました。さらに前述した「血盟の盟約」による自刃シーンが加わったことで、「弱くて負けたのではなく、仲間を信じて自らの命を託した」という高潔な散り際として再定義され、キャラクターの評価は不動のものとなったのです。