中山美穂さんのNHKにおける音楽的キャリアの頂点として、誰もが真っ先に思い浮かべるのが『NHK紅白歌合戦』の舞台です。歴代紅白出演回数は通算7回(1988年〜1994年)に及び、まさに彼女の歌手としての黄金期と重なります。
初出場を果たした1988年(第39回)の「Witches」では、従来のアイドル像を打ち破るミステリアスで大人びた世界観を提示し、お茶の間を釘付けにしました。その後も「Virgin Eyes」(1989年)、「愛してるっていわない!」(1990年)、「Rosa」(1991年)と連続出場を重ね、楽曲ごとに全く異なる表情と洗練されたビジュアルで紅白の華となりました。
そのなかでも音楽史に残る金字塔となったのが、1992年(第43回)の「世界中の誰よりきっと」です。ロックバンドWANDSとのコラボレーションによる同曲は、ダブルミリオンに迫る空前の大ヒットを記録。紅白のステージでは、中山さんの透明感あふれるボーカルと上杉昇さんのパワフルなハイトーンが完璧に融合し、紅組と白組の垣根を超えた奇跡のコラボレーションとして今も語り草となっています。続く1993年の「幸せになるために」、1994年の「ただ泣きたくなるの」に至るまで、中山美穂さんの紅白歌唱シーンは90年代の日本の心象風景そのものとしてアーカイブに刻まれています。