実際に無響室を体験した一般見学者やエンジニアたちの証言を総合すると、メディアが煽る「ホラー体験」とは異なる、極めて独特な身体違和感の実態が浮き彫りになります。
「床が空中に張られたワイヤーネットになっていて、下を覗くと底面一面にも鋭利なくさびが並んでいる。入った瞬間に耳に綿を詰め込まれたような重い圧迫感があり、同行者と会話しようとしても、口から出た声が前方に吸い込まれて自分の耳に返ってこない。相手の声も至近距離なのに遠くから聞こえるようで、脳が距離感を完全に失って立ちくらみがした」(大学オープンキャンパスでの見学者手記)
SNSや専門掲示板における生の声でも、「発狂しそうになった」という感情的な訴えよりも、「平衡感覚の消失」と「強烈な耳閉感(飛行機の上昇時に耳が詰まる感覚)」を訴える声が圧倒的多数を占めます。人間は普段、壁からの微小な反響音を無意識に反響定位(エコーロケーション)として利用し、空間の広さや自分の立ち位置を把握しています。その手がかりが完全に剥奪されるため、床のワイヤーネット上を歩くだけで足元がおぼつかなくなり、座り込みたくなるのです。