ルールブックの根幹を読み解くと、競技の面白さを決定づける2大要素に行き当たります。それが「前方へのパス」と「コンタクト(密集戦)の扱い」です。
アメフトの代名詞ともいえるのが前方パスのルールです。攻撃開始線(スクリメージライン)の手前からであれば、1プレー中に1度だけ前方の味方へロングパスを投げることが認められています。この大役を担うのが、チームの絶対的司令塔であるクォーターバック(QB)です。QBはわずか2〜3秒の間に、迫り来る相手ディフェンスのプレッシャーを躱しながら、40ヤード先に全力疾走するワイドレシーバー(WR)の手元へミリ単位の精密パスを投げ込みます。一瞬でフィールドを支配し、局面を劇的に打開するダイナミズムはアメフトならではの魅力です。
一方、ラグビーの世界において手でボールを前方に投げる行為はスローフォワード、ボールを前方に落とす行為はノックオンという重い反則になります。前進するためには「自らボールを持って走る」「味方に真横か後方へパスを繋ぐ」「足で前方へキックする」の3通りしかありません。ボールを持たない味方選手は常にボール保持者より後ろを並走してパスを待ち、横一直線に陣形を展開しながら敵のギャップを突いていきます。
また、地上戦における密集の攻防にも決定的な違いが存在します。ラグビーではタックルで倒された地点でラックが形成され、立ったままボールを奪い合うモール、反則後の再開で行われるスクラムなど、全員が結束して押し合う集団戦が随所に発生します。アメフトではタックルで膝や肘が地面に着いた瞬間にプレーが完全に停止(デッド)するため、ラグビーのような流動的なボール争奪の密集戦は発生しません。