中顔面への関心が高まる一方で、美容医療クリニックのカウンセリング現場では新たな問題が表面化しています。都内の大手美容外科医への取材によると、「中顔面を短くしたい」と受診する20代〜30代の来院数が、ここ2年で約1.6倍に急増しているといいます。
しかし、そこで警鐘が鳴らされているのが「切開系人中短縮術(リップリフト)の安易な選択」です。ネット上の掲示板やSNSでは「人中を短くしたら美人度が上がった」という成功談が拡散される一方、知恵袋や美容クチコミアプリには切実な後悔の告白が溢れています。
「鼻の下の傷跡がファンデーションでも隠れない」「鼻翼(小鼻)が横に引っ張られて豚鼻のようになってしまった」「笑ったときに上前歯が剥き出しになり、引きつれて表情が不自然になった」といった声は後を絶ちません。皮膚を切除して縫合する手術は、重力に逆らって下唇を引き上げるわけではないため、鼻孔の変形や口元の閉まりにくさといった機能的デメリットを引き起こすリスクと常に背中合わせです。
また、ヒアルロン酸注入においても、中顔面の平坦さを埋めようとするあまり頬前面や貴族部位に過剰充填し、笑った際に顔がパンパンに膨らんで目が埋もれてしまう「フェイシャル・オーバーフィルド・シンドローム(過充填症候群)」に陥るケースが報告されています。現場のベテラン形成外科医は、「骨格の土台を無視して中顔面のパーツだけを無理やり詰め寄せるアプローチは、顔本来の立体的な調和を不可逆的に破壊する」と指摘しています。