多くの消費者が最初に突き当たる落とし穴がある。「無塩せき=減塩・無塩」という思い込みだ。漢字の並びから「塩を使っていない」と直感的に受け取られがちだが、これは完全な誤解である。
ハムやソーセージの製造工程には、原料肉を食塩や香辛料、調味料に漬け込む「塩せき(えんせき)」と呼ばれるプロセスが存在する。日本農林規格(JAS規格)において、「無塩せき」とはこの漬け込み工程で亜硝酸ナトリウムなどの発色剤を使用しない製法を指す。食塩自体は、肉の保水性を高め、タンパク質を抽出して結着させるために不可欠な要素としてしっかり使われている。塩分摂取量を抑えたい人が無塩せきを選んでも、減塩効果が得られるわけではないのだ。
JAS規格による厳格な基準は、消費者の優良誤認を防ぐために設けられている。店頭で手に取る際は、まず「発色剤を使っていない肉製品」であるという事実を整理しておく必要がある。