事故が起きた園は、法令が定める保育士の配置基準を厳密に満たしていた。豊中市もまた、事前の立ち入り調査において「適切な運営方針が保たれていた」と評価していた経緯がある。ではなぜ、基準を満たしていたにもかかわらず事故を防ぐことができなかったのか。
問題の核心は、書類上の「配置頭数」と現場の「実質的配置」の離れにある。職員の休憩消化や突発的な事務作業により、時間帯によっては1人の保育士が多数の児童を同時に目視せざるを得ない状況が生じていた。配置基準という数値をクリアしていることと、実際の保育現場で十分な安全網が機能していることは同義ではない。制度の建前と現場のリアルな歪みが、最悪の形で露呈したと言わざるを得ない。