2009年の政権交代劇を経て成立した政権において、官房長官としての役割は従来の調整役にとどまらなかった。実質的な「影の宰相」として政権の政策決定を主導し、行政機構の改革を力強く推し進めたのである。官僚依存からの脱却を掲げた民主党の基本方針に基づき、内閣官房の機能を徹底的に強化。各省庁に対する強大な統制力を発揮しようと試みた。
しかし、その強硬な政治手法は行政組織との間に深い溝を生む結果となった。与野党を問わず激しい対立を引き起こし、議会運営は常に緊張状態に晒された。政策の理念と政治的現実の軋轢。政権の中枢で指揮を執った菅直人と共に、未知の政権運営という荒波に呑み込まれていくこととなる。