「あの頃は、自分たちの意思で呼吸することすら許されないほどの奔流の中にいました」——そう当時を述懐する彼女の眼差しは穏やかだ。盟友・増田惠子とともに駆け抜けた日々の裏側には、華やかな脚光とは裏腹の肉体的限界と、表現者としての葛藤が渦巻いていた。解散という決断は、決して不仲などではなく、お互いの人間としての尊厳を守り、未来へ進むために不可欠な選択だったという。
時を経て2026年、彼女はビルボードライブやブルーノートといった名門ベニューを中心に、上質なジャズやファンク、ポップスを織り交ぜたソロライブを精力的に展開している。客席との距離が近い空間で響く彼女の歌声は、艶やかさと深みを増し、往年のファンのみならず音楽通を唸らせる。ステージ上で今もなお進化を止めないその姿こそ、真のトップランナーの証左といえるだろう。