言語学的な歴史を振り返ると、昭和から平成初期にかけては「了解いたしました」という言い回しが公の場やビジネスの現場でも普通に使われていました。国語辞典などの規範的な解説でも、古くから明確な誤用と断定されていたわけではありません。
それでは、なぜ「了解しました=マナー違反」という言説がここまで強固になったのでしょうか。調査を進めると、2000年代後半以降に出版されたビジネスマナー本や就職活動対策の指導において急速にルール化されたという背景が浮かび上がってきます。ネット上では「失礼クリエイターが生み出した謎マナー」と揶揄されることも少なくありません。
しかし、発祥がマナー講師主導であったとしても、すでに20年近く「了解は目上に失礼」という認識が社会へ浸透しています。特に40代〜60代の管理職や社外のクライアント層には「了解=部下が使う言葉」という価値観が定着しているため、「本来は間違いではない」と主張して押し通すのはビジネス上の得策とは言えません。相手に無用な違和感や不快感を与えない配慮こそが、現代の実務における合理的な判断です。