天下り問題とセットで語られる極めて悪質な形態が「渡り(わたり)」と呼ばれる手口です。これは、一度民間企業や外郭団体へ再就職した元官僚が、数年ごとに別の外郭団体や関連企業へ役員として次々とポストを乗り換えていく現象を指します。
「渡り」が極めて悪質とされる最大の理由は、職場を移るたびに数千万円単位の退職金が満額支給される点にあります。数年間在籍して退職金を受け取り、また別の団体へ天下って退職金を得るサイクルを繰り返すことで、生涯で数億円もの公的資金を個人が手にする事例が国会で幾度となく追及されてきました。
官僚の天下り先における年収相場は、事務次官や局長クラスのOBであれば大手企業の顧問や外郭団体の理事長ポストで年収1,500万円から2,500万円超に達することも珍しくありません。一般の民間サラリーマンが定年後に大幅な給与減を受け入れる現実と比較して、極めて不条理な特権階級の優遇措置であると受け止められています。