本作の巧みな構成は、複数の独立した事件が同時並行で発生していた点にある。視聴者を惑わせた数々の「フラグ」は、以下の3つの異なる潮流が交錯した結果だった。
第1に、長女・光莉の偽装誘拐。恋人である橘一星(佐野勇斗)の歪んだ自己顕示欲と承認欲求から始まった狂言が暴走し、本木陽香の介入によって本物の監禁事件へと悪化していった。第2に、長男・篤斗の誘拐と洗脳。過去に息子を亡くした木幡由実(バタコ)による宗教的妄執が引き起こした凶行であり、篤斗に「パパがママを殺した」と証言させたのも彼女の洗脳工作だった。
第3に、真帆の失踪と殺害。河村は自らの犯行を隠蔽するため、週刊誌のメディア力を悪用して凌介を疑惑の中心に据え、世論をミスリードし続けた。伏線として散りばめられていた不自然な写真のアングル、タイムラグのある情報提供、そして凌介に過剰な同情を寄せる河村の言動。これらすべてが、真犯人による周到な自作自演のピースだったのだ。