ベネズエラを巡る対立の深層を理解する上で欠かせないのが、世界のエネルギー地図における特異な立ち位置です。アメリカの石油戦略とベネズエラが持つ圧倒的な地下資源の関係を、客観的なデータで検証します。
このデータが物語るように、ベネズエラはサウジアラビアを凌ぐ世界第1位の原油埋蔵量を誇ります。しかし、その大半はドロドロとしたタール状の「超重質油」であり、採掘・精製には莫大な資本投下と高度な希釈技術が必要です。米テキサス州などの製油所は、まさにこのベネズエラ産重質油を処理するために巨額の投資を行ってきました。
近年、この力学にさらなる緊張をもたらしているのが、隣国ガイアナのエセキボ地域を巡る領有権問題です。米エクソンモービルがガイアナ沖で巨大油田を発見し莫大な利益を上げる中、マドゥロ政権は国土の約3分の2に相当するエセキボ地域の領有を一方的に宣言。国境付近に軍を増強する動きを見せました。これに対しアメリカは、ガイアナ防衛のための合同軍事演習を即座に実施しました。「自国の石油利権と親米国ガイアナを、ベネズエラの侵略から断固守る」という米国の強硬姿勢は、偶発的な軍事衝突リスクを現実のものとしています。