白河ラーメンを語る上で、とら食堂の創業者である故・竹井寅次氏の功績を外すことはできません。昭和初期、寅次氏が試行錯誤の末に生み出した「手打ち中華そば」は、戦後の復興期を経て地域に深く根づき、やがて白河ラーメン発祥の歴史そのものとなりました。
その志を継承し、白河ラーメンを全国区のブランドへと押し上げたのが二代目の竹井和之氏です。和之氏は伝統の製法を頑なに守りつつ、素材の厳選と温度管理を徹底。木棒と体重を利用して生地を鍛え上げる「竹踏み製法」と、数日間じっくり寝かせて熟成させる多加水麺の技術を極限まで高めました。
さらに、とら食堂で修行を積んだ弟子たちが全国各地で独立開業したことで、ラーメン界における確固たる流派「とら系ラーメンの特徴」が確立されました。化学調味料に頼らず、丸鶏・ガラ・豚肉の旨味を丁寧に抽出した澄み渡るスープ、炭火でじっくりと燻煙した香り高いチャーシュー、手もみによる不揃いな縮れ麺という黄金トリオは、全国の弟子たちへ脈々と受け継がれています。