表通りを歩いているだけでは、この街の本当の魅力には出会えない。人ひとりがやっと通れるほどの細い路地「突抜(つきぬけ)」へ足を踏み入れると、築100年を超える町家を改装した隠れ家がひっそりと息づいている。
ある隠れ家的な町家カフェでは、梁がむき出しになった高い天井の下、庭の坪庭を眺めながら限定の創作ランチがいただける。靴を脱いで畳に上がった瞬間、旅の疲れがすっと抜けていく感覚。ここでは地元の常連客が新聞を広げ、店主と静かに言葉を交わす日常が流れている。
一方、遠方からの食通で連日満席となる予約必須店も存在する。自家製スパイスを駆使した創作和食や、季節の素材を目の前で仕上げるコース仕立てのランチは、数週間前から争奪戦が繰り広げられるほどだ。地元民が「本当は秘密にしておきたい」と口を揃える理由が、そこには確かにある。