店内に入ってまず驚くのは、その独特な空気感だ。昭和のガード下を思わせる赤提灯や手書きのメニュー短冊が並ぶ一方で、各テーブルには最新のモバイルオーダーシステムが導入されている。注文から提供までのスピードは驚くほど速い。いわゆる「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する現代の若者世代にとっても、このストレスフリーなシステムは心地よいはずだ。
しかし、決して冷たいデジタル感はない。スタッフは隙あらば客に声をかけ、おすすめの日本酒や今日の裏メニューを嬉しそうに語る。効率化できる部分は徹底的にシステムに任せ、生まれた時間で客とのコミュニケーションを濃密にする。このハイブリッドな店舗運営こそが、現代の居酒屋が目指すべき一つの完成形なのかもしれない。