近田春夫の音楽的バックボーンを語る上で欠かせないのが、東京・山の手の洗練された文化圏で育まれた華麗な実家のルーツです。近田春夫の父親は、都内で開業医として名を馳せた著名な医師であり、家庭は非常に裕福で文化的教養に満ちあふれた環境でした。
幼少期からピアノの英才教育を受ける一方で、学歴は名門・慶應義塾幼稚舎に入学。そのまま普通部、慶應義塾高等学校へと進学した生粋の慶應ボーイでした。高校時代からすでにバンド活動に没頭し、慶應義塾大学文学部に進学するものの、本格的な音楽の道へ進むために中退を決断します。
良家の子息という恵まれたレールが敷かれていながら、型にはまることを嫌い、当時のアンダーグラウンドなロックカルチャーへと身を投じた破天荒さこそが、近田春夫というアーティストの核を形成しました。育ちの良さに裏打ちされた都会的なエスプリと、反逆精神が同居する独自のダンディズムは、この名門の家柄と若い頃の選択から生まれています。