大通りのメガブランド旗艦店を素通りし、一歩裏手に足を踏み入れると、そこには看板すらない隠れ家のような独立系香水ラボが点在している。客たちは既製品の瓶を手に取るのではなく、まるでテーラーでスーツを仕立てるかのように自らのライフスタイルや美意識を調香師と対和させながら、世界に一つだけのボトルを作り上げていく。
大量生産・大量消費のアイコンだった従来のメジャー香水は影を潜め、今や「誰も知らない小規模なアトリエのボトル」を所有することこそが真のステータスとなった。独自の抽出技術を持つ小さなラボには、世界中からフライトを飛ばしてやってくるコレクターの姿も珍しくない。