芳野氏の言動を読み解く上で欠かせないのが、彼女のルーツであるJAM(ものづくり産業労働組合)での経験だ。製造現場の過酷な労働環境や、下請け企業が置かれた構造的な不条理を目の当たりにしてきた叩き上げのキャリアが、現在の妥協なき交渉スタイルの根底にある。
「現場の汗に報われない構造を変える」。その姿勢は、一部の批評家から「頑固すぎる」と評されることもある。しかし、ものづくり産業の衰退に危機感を抱く現場の作業員たちにとって、彼女の強い言葉は頼もしい追い風として受け止められている。巨大な組織のトップに立ってもなお失われない現場主義の原点が、彼女の決断を支える揺るぎない背骨となっている。