場所によっては「今場所の技能賞は該当者なし」「殊勲賞該当者なし」という結果速報が流れることがあります。これに対してネット上では「なぜ誰も選ばれないのか」「基準が厳しすぎるのではないか」といった疑問が上がりがちです。この背景には、伝統ある大相撲ならではの評価軸が存在します。
1. 技能賞で「該当者なし」が頻発する構造的理由
三賞の中で圧倒的に「該当者なし」が出やすいのが技能賞です。相撲道において「技」とは、単に珍しい決まり手(居反りや八艘飛びなど)を繰り出すことではありません。立ち合いからしっかり踏み込み、まわしを引きつけ、正攻法の理にかなった身体操作で相手を崩したかどうかが厳しく審査されます。「立ち合いの変化(はたき込み・引き落とし)」で白星を拾った相撲が多い場合、どんなに勝ち星が多くても技能賞選考では記者や審判部から厳しい批判が浴びせられ、過半数の票を集められません。
2. 優勝したのに殊勲賞をもらえないケース
前頭下位の力士が13勝などを挙げて平幕優勝を果たした場合でも、対戦相手に横綱・大関がおらず、上位陣を倒していない場合は「殊勲賞」ではなく「敢闘賞」のみの授与となる場合があります。「殊勲」の語源が示す通り、最高峰の強敵を打ち破った事実が不可欠とされるためです。
3. 大関・横綱がどれだけ活躍しても受賞できない理由
大関や横綱が14勝1敗で全勝に迫る快進撃を見せても、三賞の対象には一切含まれません。相撲界の理念において、大関・横綱は「賜杯(優勝)争いをして当然の最高位」であり、三賞は「上位に挑み、土俵を活性化させたチャレンジャーたちを顕彰する制度」だからです。