船場吉兆が転落していった経緯は、一度の失態にとどまりませんでした。発端は2007年秋、福岡市内の百貨店で販売されていた惣菜の地鶏偽装表示や、但馬牛の偽装、さらにはプリンやゼリーなど菓子の賞味期限改ざんが相次いで発覚したことです。
会見を経て信頼回復を目指し、2008年1月に営業を再開したものの、同年5月にさらなる激震が走ります。客が残した鮎の塩焼きや刺身、ワサビなどの料理を回収し、別の客へと提供していた料理の使い回し事件が内部告発によって暴かれたのです。
料亭文化の根本を揺るがす背信行為に対し、世論の怒りは頂点に達しました。料亭としての信用を完全に喪失した船場吉兆は、追加融資の道も断たれ、2008年5月28日に自主廃業を発表。負債総額は約8億円にのぼり、名門料亭の歴史はあまりにも不名誉な形で幕を閉じました。