オープン前から駐車場に車が吸い寄せられていく。各務原のランチシーンにおける熱量は、外食産業のトレンドを語る上で見逃せない現象だ。取材班が足を踏み入れたのは、住宅街の路地裏に佇む古民家を改装した食事処。看板すら控えめなその店では、オープンと同時に満席の札が掲げられる。
「わざわざ見つけて来てくれるお客さんに、嘘のない一皿を出したいだけですよ」。厨房で手際よく包丁を握る店主は照れくさそうに笑う。提供されるのは、季節の小鉢が所狭しと並ぶ贅沢な御膳。一見すると敷居が高そうに見えるが、お会計の伝票を見て誰もが二度見する。この圧倒的なコストパフォーマンスこそ、地元住民が「本当は誰にも教えたくない」と口を揃える最大の理由だ。
一方で、国道21号線周辺に広がる新鋭のカフェ・喫茶店エリアでは、洗練された空間演出とフォトジェニックなランチプレートが若い世代を惹きつけてやまない。カウンター越しに響く肉の焼ける音、彩り豊かな地場野菜のコントラスト。行列に並んででも食べる価値がある名店が、この街には確実に息づいている。