演技経験が皆無だった彼女が、なぜいきなりフジテレビの看板枠である「月9」のレギュラーキャストに抜擢されたのか。そこにはドラマのようなスカウト劇が存在します。
千葉県出身の彼女は、高校時代に地元の観光施設「マザー牧場」でアルバイトをしていました。そこで偶然家族旅行に来ていた芸能事務所フラームのマネージャーの目に留まり、スカウトされたことが芸能界入りのきっかけです。透明感あふれる素朴な佇まいと、飾らない素顔に強いスター性を見出した事務所側は、すぐさま所属を決定。その後、レッスンを重ねる中で舞い込んだ大仕事こそが『恋仲』のオーディションでした。
当時の報道や関係者の証言によると、制作サイドは「都会の洗練されたオフィスに、まだ何色にも染まっていない地方出身の新人スタッフらしい瑞々しさ」を求めていたとされます。演技の技巧ではなく、カメラの前に立った瞬間に漂う圧倒的な無垢さが、プロデューサー陣の心をつかみました。後に全国区の知名度を獲得することになる「ソニー損保」のCM出演が同年の秋以降であったため、まさに『恋仲』こそが映像作品としての正真正銘の原点です。