拉致問題は単なる二国間の道義的問題にとどまらず、複雑な国際政治の渦中に置かれている。東アジアの安全保障環境が急速に変化する中、北朝鮮をめぐる各国の利害関係は極めて複雑だ。
日本政府や外務省が展開する外交戦略に対し、拓也氏らは国際社会への積極的なアピールを重ねてきた。アメリカ大統領や国連関係者との面会を重ね、人権問題としての重大性を訴え続ける一方で、北朝鮮側の思惑や国際情勢の停滞という現実的な壁が常に立ちはだかる。道義的正当性と冷徹なパワー・ポリティクスの間で、家族が味わってきた無力感と焦燥感は、日本の外交史における最大の課題を映し出している。