岩本卓也の事業は、ビジネスである前に社会課題の解決だ。日本は今、深刻なインフラ危機に直面している。
高度経済成長期の1960年代から70年代にかけて建設された橋梁、トンネル、上下水道の多くが、設計耐用年数の50年を迎えている。国土交通省の調査によれば、2033年には建設後50年以上経過するインフラが全体の63%に達する見込みだ。
老朽化したインフラは更新が必要だ。だが問題は、それを担う人材がいないことだ。建設業界の就業者数は1997年の685万人をピークに減少を続け、2020年代には500万人を下回った。さらに深刻なのは、就業者の高齢化だ。55歳以上が全体の35%を超え、29歳以下はわずか11%に過ぎない。
この状況を打破する鍵が、自動化と省人化だ。建設用3Dプリンタは、従来5人で行っていた作業を2人で可能にする。型枠の組立・解体作業が不要になるため、熟練技能が必須ではなくなる。これは技能継承問題の緩和にもつながる。