「本当に美味しいラスクを作るために、専用のフランスパンを焼いています」。そう語るのは、都内で複数の店舗を展開するベーカリーのオーナーシェフだ。余り物の再利用から始まったラスクだが、今やその人気は本末転倒とも言える現象を引き起こしている。ラスクにした時に最適な気泡の大きさ、水分の抜け具合を計算し尽くしたバゲットを、あえて毎朝焼き上げているのだ。
皮(クラスト)の香ばしさと、内側(クラム)の軽やかな食感。この黄金比率を生み出すためには、発酵時間や焼き温度の微調整が欠かせない。職人たちの狂気とも言えるこだわりが、日本のパン文化をさらに深いレベルへと押し上げている。