昭和歌謡界の歴史を塗り替えたのが、1961年にリリースされた不朽の名作『おひまなら来てね』だ。甘えを含んだ独特のウィスパーボイスと、語りかけるような節回し。従来の演歌や歌謡曲の堅苦しさを軽やかに脱ぎ捨てたこの楽曲は、空前のメガヒットを記録した。
続く『一寸法師の唄』や『温泉芸者』など、いわゆる「お色気歌謡」と呼ばれる新ジャンルを確立。単に艶めかしいだけでなく、茶目っ気と品格を失わない歌唱表現は、大衆の心を鷲掴みにした。言葉の端々に忍ばせた吐息のニュアンスひとつで聴き手を陶酔させる技術は、まさに職人芸の領域だった。