劇場で怒涛のギャグを連発する漫才師の姿しか知らない人にとって、もう一つの彼の顔は大きな驚きかもしれない。実は彼、本格的なジャズヴォーカルとしてライブハウスやジャズフェスでスモーキーかつ情感豊かな歌声を響かせる凄腕のシンガーでもあるのだ。
音楽への傾倒は単なる道楽ではない。ニューヨークへ渡り本格的なボイストレーニングを積むほどの情熱を注ぎ込み、スタンダードジャズの名曲を味わい深く歌い上げる。漫才の舞台で見せる激しいアクションとは対照的に、照明を浴びて静かにマイクを握る姿には、大人の渋みと知性が漂う。彼が持つ抜群のリズム感と音感の鋭さは漫才の間(ま)にも通じており、表現者としての深みを支える重要な骨格となっている。