便器の防汚技術や泡洗浄機能は年々目覚ましい進化を遂げている。日本の住宅設備産業を牽引するTOTO株式会社や株式会社LIXILは、尿ハネを極限まで抑えるボウル形状や、フチ裏をなくしたトルネード洗浄技術、さらには抗菌・防汚加工を施したセラミック床材などを次々と市場へ投入してきた。これにより、かつてのような「アンモニア臭が染み付くトイレ」は劇的に減少した。
しかし、メーカーの開発担当者たちが口を揃えるのは「便器の進化が床の完全な無菌化を意味するわけではない」という点だ。TOTO株式会社の技術検証でも、男性の立ち小便はもちろん、着座姿勢での排泄であっても微小な跳ね返りはゼロにはならないことが示されている。株式会社LIXILが推奨する耐薬品性や清掃性に優れた床材であっても、付着した菌が自然消滅するわけではない。床材が拭きやすくなったことと、菌の持ち出しを防ぐことはまったく別の問題なのだ。