鳳凰堂の内部、中堂の長押(なげし)の上に佇む雲中供養菩薩像(うんちゅうくようぼさつぞう)。楽器を奏で、舞を舞うその姿は、平安時代の宗教芸術の最高峰とされる。しかし、実物の劣化を防ぐため、間近での観覧には厳しい制限が課されてきた。
このジレンマを解決したのが、境内のミュージアム「鳳翔館」で公開が始まった8K超高精細デジタルアーカイブだ。肉眼では捉えきれない木肌の質感や、わずかに残る900年前の彩料の痕跡までが立体的に再現される。来訪者はタッチパネルを介して、菩薩像を360度あらゆる角度から拡大・鑑賞できる。本物の持つ圧倒的な威厳と、デジタルの圧倒的な解像度。双方が補い合う新しい拝観体験がここにある。