かつてマイケル・ジャクソンが巨額の私財を投じて作り上げたネバーランドは現在、米国の有力投資家であり大富豪のロン・バークル(Ron Burkle)氏が単独所有しています。バークル氏は投資会社ユカイパ・カンパニーズの共同創業者であり、マイケルが生前に経済的困窮や訴訟トラブルに直面していた時期から親交のあった長年のアドバイザーとしても知られています。
不動産市場を驚かせたのは、その取引価格の劇的な下落でした。マイケルの死後、敷地の共同権利を保持していた投資会社コロニー・キャピタルとマイケル・ジャクソン・エステート(遺産管理団体)は、2015年に旧名である「シカモア・バレー・ランチ(Sycamore Valley Ranch)」へと改称し、1億ドル(当時のレートで約120億円)という超強気の価格で売りに出しました。
しかし、買い手は一向に現れず、2017年には6,700万ドル、2019年には3,100万ドルへと段階的な値下げを余儀なくされます。そして最終的に2026年12月、バークル氏が提示した約2,200万ドル(約23億円)で売却が成立しました。ピーク時の希望価格から実に78%もの暴落を記録した背景には、単なる不動産不況にとどまらない複数の構造的要因が存在します。
第1に、年間数百万ドルに達する維持管理コストの重さです。広大な敷地の緑地維持、消防設備、専用インフラの維持費は莫大で、富裕層にとっても維持リスクが極めて高い物件でした。第2に、マイケルをめぐるドキュメンタリー番組の放送などによる風評被害が重なり、ラグジュアリー不動産としてのブランド価値が大きく揺らいだ点が挙げられます。バークル氏はこれを「純粋な土地投資の好機(ランドバンキング)」と見定めて底値で買い取り、歴史的な大邸宅の権利を手中に収めました。