この競技のルーツは1965年にさかのぼる。アメリカ・シアトル近郊でジョエル・プリチャード元下院議員らが、家族全員で手軽に遊べるゲームとして考案したのが始まりだ。長らくローカルなレクリエーションにとどまっていたが、統括団体であるUSA Pickleballの主導による環境整備とプロリーグの発足により、ここ数年で爆発的な躍進を遂げた。
特に世界的な注目を集めるきっかけとなったのが、メディア露出と若きスター選手の躍進だ。天才少女と称されたアナ・リー・ウォーターズが10代前半で世界のトップに君臨すると、競技の認知度は一気に跳ね上がった。さらに、Netflixのドキュメンタリー番組での特集や、YouTubeで日常的に配信されるハイライト動画が若年層の関心を一気に引きつける。著名人が真剣勝負を繰り広げる全米放映番組『Pickled (ピックルド)』のヒットも手伝い、一躍社会現象となった。
テニスやスカッシュなどの伝統的なラケットスポーツは、高度な技術や激しい体力を要求される場面が多い。それに対して、軽量なギアを用いるパドルスポーツであるピックルボールは、圧倒的な敷居の低さと奥深い戦略性を両立している。この絶妙なバランスこそが、世界中を魅了する最大の原動力だ。