家事情報サイトやSNSの短編動画では、「現代の洗剤は高性能だから注水すすぎなど完全に無駄」「水道代をドブに捨てるようなもの」という極論が散見されます。しかし、この主張には重大な盲点が存在します。
確かに、界面活性剤の進化によって「すすぎ1回」でも肉眼で見える泡は素早く消えるようになりました。しかし、「泡が消えること」と「洗剤成分が繊維から抜けきること」は同義ではありません。特にドラム式洗濯機や節水型の縦型洗濯機では、洗濯槽内の水量が極限まで削られているため、衣類同士の摩擦で泡立ちが抑えられているだけで、化学成分そのものは繊維の奥深くに凝縮して残留しているケースが多発しています。
整理した注水すすぎのメリットとデメリットは以下の通りです。
【主なメリット】
- 洗剤・柔軟剤の成分残留を物理的に最小化し、アレルギーや肌トラブルのリスクを低減する。
- 水面に浮いた糸くずやホコリ、ペットの抜け毛が衣類に再付着するのを防ぐ。
- 繊維内に残った皮脂や雑菌の繁殖を防ぎ、部屋干し臭や生乾き臭を根本から断つ。
【主なデメリット】
- 1回あたり約30〜60リットルの水道水を追加消費するため、水道代が数十円加算される。
- 給水とオーバーフローを継続するため、洗濯完了までの所要時間が5〜10分程度延長される。
- 洗濯機の設置環境や水圧が低い家庭では、給水に時間がかかりエラーの原因になる場合がある。
つまり、注水すすぎは「単なる無駄遣い」ではなく、「わずかな水道代を支払って、皮膚科への通院リスクや衣類のニオイ戻りを買い取る安全保険」と捉えるのが、家事経済学における正しい評価です。