かつて全国に数十万戸規模で存在した宿舎ネットワークは、いま急速に縮小している。その司令塔となっているのが財務省だ。厳しい財政規律を求める同省は、老朽化が進んだ宿舎や利用率の低下した拠点をリストアップし、容赦ない統廃合を推進している。維持管理費の膨張を抑えつつ、売却益を国庫に納めることが至上命題となっているためだ。
関係筋から入手した再編スケジュールによれば、地方都市を中心に数十カ所の拠点が統廃合の俎上に載せられている。とりわけ耐震基準を満たさない昭和建築の団地型物件は、改修を行わずに一括解体・売却される方針が固まった。これに対し、インフラの維持管理や災害対応の最前線を担う国土交通省などの現場部局からは、要員の緊急即応体制が損なわれかねないとの懸念が根強く噴出している。
跡地利用を巡る自治体との折衝も難航を極める。一等地が民間に売却されて高級タワーマンションへと姿を変える一方、郊外の施設は買い手がつかずに荒廃するリスクを孕む。財務省が描く「効率化シナリオ」は、単なる資産処分にとどまらず、地域コミュニティの再編をも巻き込む複雑な力学を引き起こしている。