ブルーインパルスの飛行訓練は、単に晴れているかどうかだけでなく、上空の雲底高度(シーリング)と視程(見通せる距離)によって、実施される演目内容が厳格に切り替えられます。これを航空自衛隊では「飛行区分」と呼びます。
青空が広がり、雲底高度が十分にある条件下で行われるのが「第1区分」です。この区分では、6機による超密集ループ(デルタループ)や、大空にハートを描く「バーティカル・キューピッド」、巨大な星を描く「スタークロス」、機体を急上昇させて開花させる「レインフォール」など、垂直方向のダイナミックな機動を含むフル演目が展開されます。
- 第1区分(晴天・雲底高度10,000ft以上/視程8km以上): 垂直系アクロバットを含む全演目(宙返り・急上昇・巨大スモークアート)を実施。
- 第2区分(雲底高度7,000ft〜10,000ft): 垂直系の演技高度をやや下げた構成。一部演目の開始高度を変更。
- 第3区分(雲底高度5,000ft〜7,000ft): 垂直系(宙返り等)を控え、水平方向の旋回系(ローリングコンバットピッチ、チェンジオーバーターン等)を中心とする演目に変更。
- 第4区分(雲底高度3,000ft〜5,000ft): 水平旋回および編隊航過飛行がメイン。スモークを使った水平機動を展開。
- 第5区分(悪天候時・視程不良時): 視界が極端に制限される場合、スモークを引いた低空での航過飛行(パス)のみを実施。
また、現地を訪れても訓練が行われない「飛行訓練の中止基準」も存在します。地上は晴れていても上空に厚い低層雲が立ち込めている場合、パイロット同士の相互視認や地上の安全高度確保が困難となるため、訓練は即座に中止または上空偵察(天候偵察)のみで終了します。その他、横風制限(概ね25ノット以上)、雷雲の接近、滑走路周辺でのバードストライク(鳥衝突)警報、機体のマイナートラブルなどが主な中止要因となります。