羽生善治のキャリアにおいて最大のハイライトの一つが、1996年2月14日の「七冠独占」達成です。当時の全7大タイトル(竜王・名人・棋聖・王位・王座・棋王・王将)を一人で独占するという、将棋の歴史上誰一人として成し得なかった前人未到の偉業でした。
前年の王将戦で谷川浩司に阻まれた悔しさを乗り越え、25歳で達成したこの快挙は、NHKのニュース速報をはじめ全メディアがトップニュースで報道。ワイドショーや雑誌の表紙をジャックし、日本中が「羽生フィーバー」に包まれました。
当時の対局では、数々の天才エピソードが生まれています。 対局終盤で勝利を確信した瞬間に見せる「羽生の手の震え」は、極限状態の集中力と勝負への執念を象徴する名シーンとして有名です。また、誰もが予想し得ない絶妙手を放って不利な局面を一気に引っくり返す「羽生マジック」は、対戦相手のみならず観戦するプロ棋士たちをも唸らせました。